未来局

こども未来局、というところからお手紙が来た。

なんかちょっとどきどきする響きだ。こども未来局。ふと、科学博物館からのお知らせのようなものを思い浮かべたりして、するともうたちまち、SF的な世界が頭のなかに広がっていったりするのは、

ちょうど自分が、中学生の頃に、早川文庫のSFなんかが、はやったせいかもしれない。レイ・ブラッドベリの世界から宇宙船の搭乗についてのお知らせが届くとか。

そんなわけはなくて。役所の仕事に、こども未来局、があるなんて知らなかったけど、

「子どもの生活に関する実態調査」のアンケートでした。

保護者用と子ども用があって、子ども用は子ども自身で記入する。無記名なので、正直に書いていいよ、と言ったら、書いてましたが。家族や学校のこと、放課後の居場所のこと、食事のこと。

保護者用は、貧困調査も兼ねているかな。行政への要望を書く欄もあったけど、要望の前に、幼児期の療育サービスへの感謝を言いたいなと思った。

幼稚園に通うのが難しそうで、年少保育をあきらめたときに、1年間、週に1度、療育のクラスに通えたことは、ほんとにありがたかったと思う。

あの1年間で、子どもの特性を把握し理解できてから、幼稚園や小学校に送り出せたのは、ほんとうによかった。いろいろあっても、無駄に悩まずに対応できたし、子どもの自覚も促せたし。

子どものほうの調査書、見せてくれたので見たけど。スマホほしいって、それは駄目です。

逃げ出したり泣き出したりしたい、ということはない。生きていても仕方ない、とは思わない。

それだけ確認したら、もう満足ですけど。

友だちとの関係については、仲良くしているし、好かれているとも思う。でも自分は友だちとくらべて違うと思う。と答えていた。

中学2年。そういえば、私そのころ、ノートにあれこれ書いていたので覚えている。自分が、他の子どもたちと何か違っている、という感覚。小学校の高学年の頃から、感じ続けていて、何をしても、何かあわない、何か外れてしまう、でもどこがどう合わなくて、どう外れてしまうのか、わけがわからない、ということについて、何か心臓をかきむしりたいような、気持ちがあった。あったなあ。

いまとなっては、ちょっとなつかしいような、せつないような気持ちだけど。それなりに、くるしかった。

あの頃。クラスの人たちのことは、ほとんど何も覚えていないけど、学校帰りの夕焼けのことと、読んだ本のことは、いまも覚えている。

あの頃に見ていた夕焼けを、一生なつかしむようなことになるとは、思わなかったけど。

不思議なほどなつかしい。世界の全部、人生の全部が、あの夕焼けのなかに浮かんでいたと思うくらいなつかしい。

ブラッドベリの宇宙船とはかかわりもなかった、こども未来局からのお便りだった。記入して封をした、と。

息子、友だちとくらべて違う、のは、自分だけではないのだ、ということは視野の隅で、確認しているふうだ。

こうしてみると、洪水ちゃんは、エネルギーあるよね、毎日遠くから通ってくるもんね。先生らに注意されても説教されても、他の子らにヘンな子と思われてもくじけてないもんね。

という話を息子としたのは、欠席する子たちもいるから。

隣のクラスの定休日男子は、会う度に、息子を強くハグしていたらしいのだが、最近は、定休日がどんどん増えて、営業日がどんどん減ってきて、ハグされるなんてなくなってしまった、らしい。今日もいなかった。営業日のはずなのに。

クラスのぎりぎりちゃんは、親に車で送ってもらうことが増えて、でも靴脱ぎ場で、「やっぱりいやだ、帰る」とぐずぐず言っているのを目撃されている。保健室登校のこともあるし、帰ることもある。病院へ行くという話もしてたし、いろいろ事情があるんだろう、と思う。

それで外れるもの同士、意思疎通なるか、っていうと、ならないんだけど。

母親たちも、それぞれに孤独かもしれない、と思う。

つばめのヒナさん、最後の一羽が今朝巣立ち。

と思ったら、昼頃、玄関先にいてびっくり。向こうもびっくりで、隅っこの草の上に逃げて、しばらくずっとそこにいたが、そのうちいなくなっていた。

まるまる大きくなっていたから、大丈夫だね。

糞、片付ける。

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