From Arabama to Jefarsonn

・・・わたし、ほんの1ヶ月で州をまたいでこんなところまで来ちゃったんだわ・・・

道路の脇に流れる冷たい小川に足を浸しながら、ヘスタ・プリンは考えていた。

つい2ヶ月前まで、アラバマを出るなんて事は、思いもよらなかった。

ヘスタ・プリンは義務教育も3/4も過ぎていない(註1)年齢だ。

だが、その小さな身体に似つかわしくない程、お腹が膨らんでいた。まぁ、その膨らんだお腹も、この長旅の一因と言える。

ヘスタ・プリンは製材所に勤める父親の元で育った。幼い頃に母親を亡くしていた。20歳近く齢の離れた兄はもう一人前に父と一緒に製材所で働いていた。随分齢の離れた兄妹だったので、他人も同然だった。

Elementary Schoolも中程の頃、無言で父親が女と、子供2人を連れて来た。何も言わず、家に住まわせた。暫くすると、女は妊娠し、子供が3人になった。

女は病気がちで、子供の世話は、専らヘスタ・プリンの仕事となった。学校には、殆ど行けなくなった。赤子の夜泣きに悩まされ、慣れない手つきで下の世話を行っていた。

女は殆ど乳も出ず、近所の(と言っても100m程離れていたが)おばさんに教わりながら離乳食を食べさせてやったりしていた。

女が連れて来た子供は何もせず、遊んでばかりいた。何も手伝おうとしなかった。

学校にも行かなかった。

そんな様子を察してか、父親は、ヘスタ・プリンがElementary Schoolも卒業する年頃(と言っても、もう殆ど通ってはいなかった)になると、街の市に連れて行ってくれるようになった。

初めての時、ヘスタ・プリンは興奮した。こんな世界があるなんて、思いもよらなかった。

とにかく、沢山の露店が並び、様々なものが売られていて、手動式のメリーゴーランドがあったり、ピエロが道化をしていたり。父親が与えてくれた10セント硬貨を握りしめ、辺りを見回っていた。結局、その10セントは使わずにしまっておき、父親には「メリーゴーランドに乗った」と言っていたのだが。

そうして、月に1度、父親はヘスタ・プリンを、街の市に連れて行くようになった。

何度か行くうちに、ヘスタ・プリンは街の手前で馬車から降ろして貰い、歩いて街に入るようになった。その方が、近所から来たように思われると思ったからだ。

自分も歩いて街に入ると、馬車で1時間近くかかる辺鄙な田舎から来たとは思えなくなっていた。

市に行く都度、父親から貰える10セントを貯めて、父親には内緒でスカーフと靴を買っていた。こっそり鞄の中に忍ばせて、父親の乗る馬車が先に行ったのを確認してから、兄のお下がりのボロボロの靴を、その新品の靴に履き替え、スカーフを巻いて街に入った。

父親が行く場所は、向こう1ヶ月の生活必需品と食料を購入する程度だったので、そこを避けるのは容易かった。

新品の靴とスカーフで歩くと、街娘になった気分になった。

ただ、毎回、市に行く度に、父親から貰える10セントは、いつかの為に取って置き、市をぶらぶら眺めるだけだったが。

そうしている内に、街の看板にパーティの案内があった。読み書きは少しは出来たので、簡単に書かれた内容は読み取れた。

赤子の世話も終わり、ヘスタ・プリンはJunior Highに通い出して2年が経っていた。父親が連れて来た女も体調が回復し、子供の世話をするようになった。ただ、ヘスタ・プリンの事については何もしなかったが。

そして、子供の世話以外は何もしなかった。家事や掃除等は、全てヘスタ・プリンの仕事だった。

ヘスタ・プリンは、父親にせがんでパーティに行かせてくれるように頼んだ。父親は、自分一人で行くなら勝手にしろ、と答えた。ただし、深夜の夜道は狼やコヨーテが危ないので、街の娘に泊めて貰え、とも言った。

これまでの苦労をねぎらってくれたのだろう。50セント硬貨をくれた。50セントもの硬貨を見るのは初めてだった。

初めて行ったパーティは、全てが新鮮だった。素晴らしい料理が並び、それらが無料で食べられるのだ(教会が行っている慈善パーティだと知ったのは随分と後の事だった)。そして、ダンス。男の子と踊るのは初めてだった。もう初めて尽くしだった。

新品の靴とスカーフも誇らしく思えた。

街に住む同級生や、パートナーとなった男の子にダンスを教えて貰うのも楽しかった。自分がお姫様になった気分だった。

慈善箱には、何も入れなかったが。

そうして数ヶ月置きに行われるパーティに、ヘスタ・プリンは行った。街の市に行く時に貰える10セントと、パーティに行く時の50セント硬貨で、ヘスタ・プリンの懐は随分豊かになっていた。

気が付けば、Junior Highも終わる頃、そんな時だ。「ルーカス・バーチ」と称した男と、パーティで出会ったのは。

いかにも「街の男」といった風情だった。そんな伊達男がヘスタ・プリンを一人前のレディとして扱ってくれた。もう、一瞬でヘスタ・プリンはのぼせ上った。

「こんな田舎に住んでいない。仕事の都合上来ているだけだ。もう暫くいるが、何時までかは分からない。もしよかったら、一緒に、もっと大きな街にいかないか?」とルーカス・バーチと名乗る男は、ヘスタ・プリンに言った。

ヘスタ・プリンは頷いた。「まだ、次のパーティまでは、この街にいる。その時、また会おう」ともルーカス・バーチと名乗った男は言った。

もちろん、ヘスタ・プリンは頷いた。

次のパーティの時、ヘスタ・プリンは「ルーカス・バーチ」と、彼の馬車だと彼が言った馬車の中で、身体を合わせた。もちろん、初めてだった。驚きも何もなかった。それが必然だと思っていた。

その次のパーティまで4ヶ月あった。

そのパーティまで1ヶ月を切った頃だった。ヘスタ・プリンが、自分に生理が来なくなっているのに気付いたのは。

次のパーティまで、ヘスタ・プリンは待てなかったが、「ルーカス・バーチ」の居所など知らなかったので、何も出来なかった。ただ、次のパーティを待つしかなかった。

「分かった。どうにかしよう」とまだ街にいたルーカス・バーチと名乗る男は、パーティを抜け出した茂みの中で言った。ヘスタ・プリンは頷いた。

しかし、その日も身体を重ねただけで、ルーカス・バーチと名乗る男と別れた。と言うより、彼が「準備があるから」と去ったのだ。ヘスタ・プリンは、自分の住所を書いた紙を手渡した。

数日、何も起きなかった。郵便受けを何度も見に行ったが、何も投函されていなかった。

ヘスタ・プリンは街に行き、宿屋を全て回った。

「ルーカス・バーチ」などと言った男は、何処にも泊まっていなかった。

人相や様子を伝えたが、要領を得なかった。仕方なく、恐らく生きていくには必要だろう食料品店に、そんな人物が来ていなかったか尋ねた。

「あぁ、なんかそんな感じの男が来ていたね。数日前、食料品をしこたま買っていたよ。なんだか、ミシシッピに用が出来たとか言っていたね」

そんなヘスタ・プリンの異変に気付いたのは、以外にも兄だった。

膨らみ始めたお腹に、何か感づいたのだ。

普段は無言の兄が、ヘスタ・プリンに掴みかかった。ヘスタ・プリンは、何も答えなかった。頬を叩かれたが、何も言わなかった。

その日の深夜、寝室のある2階の部屋から、兄のお古のぶかぶかの靴を履いて、「ルーカス・バーチ」らしき人物と会った時にも履いていた靴と、巻いていたスカーフと、後、少しこまごました物と、僅かづつ蓄えた小銭を持って、ヘスタ・プリンは、家を後にした。

そうして、今、故郷のアラバマを抜けて、ミシシッピにいる。

そして、こうして、道端の小川で足を冷やしている。

1ヶ月も経たないのに、急にお腹は大きく膨らんでいた。誰の目から見ても、幼い妊婦だった。と言っても、そんなに珍しい話ではない。ただ、そんな女の子が一人で旅している、という事が不思議なだけだ。

日中歩いている時には、それ程石ころが無ければ、兄のお古の靴を脱いで歩く。草むらなんかがあると、そこを歩くとひんやりと心地いい。

たまに馬車が停まってくれる事もあった。

日に焼けた、色黒の、皺が額に見える男が馬車を止め、無言で隣を指さす。

ヘスタ・プリンは、頭を下げて、隣に乗せて貰った。

暫く馬車を進めていると、男はおもむろにズボンのボタンを外し、陰部を指さした。

萎びたペニスがある。

ヘスタ・プリンは、そのペニスをそっと撫で、優しく握り、指を動かした。

だんだん大きくなってくる。

馬車はとぼとぼ、ゆっくり進む。

ヘスタ・プリンは、もう十分に大きくなった、そのペニスに唇をよせ、咥え込んだ。

舌で愛撫しつつ、唇を動かす。

馬車は止まった。

ヘスタ・プリンが暫く唇を動かしていると、口の中に熱いものが迸った。

ヘスタ・プリンが、その液体とペニスを丁寧に舐めとると、男はズボンのボタンを締め直し、再び馬車を動かし始めた。

街に着くと、男はヘスタ・プリンを降ろし、何事も無かったように、去って行った。

街では、「ルーカス・バーチ」の名前と人相や人柄を宿屋などで聞く。名前は違うが、それらしき人物が、ミシシッピにあるジェファーソンという街に向かっているらしい事を耳にした。

道すがらは、小麦畑や綿花畑が広がっている。たまにある林で一休みする。陽射しを遮ってくれるのは嬉しい。寝っ転がって暫くすると、眠くなってくる。

そう言えば、この間は、こんな林の中だったっけな・・・などと、微睡ながら、ヘスタ・プリンは思い出していた。

そう、たまたま反対側から来た男は、丁寧にも馬車を止め、ヘスタ・プリンを乗せて、戻ってくれた、そして、突然、馬車を止めた男は、近くの林にヘスタ・プリンを連れて行った。そして、シャツを脱がせ、パンツを脱がせると、唐突に背後からペニスを突っ込んで来た。激痛が走った。

腕を咥えて叫び声を殺した。

随分と林の中ではあるし、見えもしない場所まで来ているし、殆ど人も馬車も通らない道の脇だが、ヘスタ・プリンは他の人が万が一通ったらと思うと、声を押し殺すしかなかった。

男は、お腹が膨らみ始めるまでは小さかったのに、お腹が大きくなるに連れて大きくなった胸を鷲掴みにした。そして、平だったのに、今では飛び出している乳首を、親指と人差し指で力強く抓んだ。

そうすると、林の茂みに、母乳が迸った。白い液体が草の露と混じって輝いた。

男は、思う存分、ヘスタ・プリンの母乳を搾り出した。

そして、出なくなるのを確認してから、猛然と腰を振り、中に精液を迸らせた。

「妊娠しているんだから、中だろうが、大丈夫だろう」

男が言った、ただ一言だ。

それから、次の街まで、男は無言だった。

ヘスタ・プリンは、パンツの中で滴る男の精液に戸惑っていた。

「ジェファーソンに行っても、多分見つからないと思うんだがねぇ・・・まぁ、確かに、製材所に新入りが入った、って話は聞いたけどね。全然違うよ。寡黙な中年だよ。そういう話は当てにしない方がいいね。あんたをおもちゃにしただけだよ」

もう少しでジェファーソンに着く、という街の食料品店のおかみさんが言う。

でも、ヘスタ・プリンは気にしない。その人が違うならば、また探せばいいだけの話だ。自分の赤ちゃんだ。嬉しくない筈はない。きっと、喜んで受け止めてくれるだろう。

うん、もう少し。ヘスタ・プリンは思った。

道の脇の草の生えている場所を裸足で歩いていると、荷台に羊を乗せた馬車が通り過ぎようとしてきた。

「あの!ジェファーソンに行くのですか?」

「ジェファーソンまでは行かないよ」

「なら、行かれる所まで、乗せて行ってくれませんでしょうか?」

馬車から、男がじっと睨みつける。ヘスタ・プリンは、スカートを持ち上げた。

男は頷いた。

馬車の荷台の羊の群れの中、男はヘスタ・プリンに、ペニスを丹念に舐めさせた。

そして、お尻の穴にペニスを触れた。

「え?!」ヘスタ・プリンは驚きの声を上げた。そんな所にペニスを挿し込まれるとは思ってもいなかった。

「お腹の赤ちゃんには、この方がいいだろう」男は冷淡に言い、無理矢理ペニスを突っ込んだ。

入る迄は恐怖でこわばっていたが、丹念に唾液を塗り込んでいたからだろう。思ったよりすんなりペニスは入り、入ってしまえば、それほどの事では無かった。普段、排泄している感じが、何度となく繰り返し感じるだけだ。

ただ、羊の群れの中で、こうして四つん這いになって男を受け入れているのが、自分も羊になった気持ちにさせられ、惨めだった。

あっけなく、男は射精した。

「さあ、ここまでだ」男は、もう2つの街を過ぎるとジェファーソンに着く街でヘスタ・プリンを降ろした。

とあるお店でお水を貰い、お礼の言葉を残し、夕暮れになる前に少しでも進もうと、ヘスタ・プリンは道を歩く。

馬車が通り過ぎて行った。

馬車が視界から消えかけた頃、夕焼けに空がなり始めた。

そうすると、その馬車が戻って来た。

「お嬢ちゃん、もう夜になる。どうする積りだ?」人の好さそうな、でも逆に言えば頼りなさそうな男が声を掛けてきた。

「わたし、ジェファーソンに行くんです」ヘスタ・プリンは答えた。

「・・・あぁ、私もジェファーソンに向かう所だ・・・」

男はそう言うと、黙り込んだ。

ヘスタ・プリンは、黙ってスカートをたくし上げようとした。

「・・・そういうのは止めておいた方がいい」男が制した。

「・・・まぁ、なんだ・・・どこから来たんだ?」

アラバマからです」

「なら、その旅の話でも、眠らないように聞かせて貰おうか」

ヘスタ・プリンは、馬車に乗せて貰った。

広大な小麦畑に夕陽が沈んでいく。ヘスタ・プリンは、親切だった人の事、助けてくれた人の事等の話をした。SEXの話はしなかった。

男は黙って聞いていた。

ただ、馬車は淡々と、ジェファーソンに向かって進んでいた。

ヘスタ・プリンは、「ルーカス・バーチ」らしき男に出会えるのだろうか?

その、ジェファーソンで、ジョウ・クリスマスという男に何が起こるのか?

ヘスタ・プリンは何も知らず、ジェファーソンに向かっていた。

完)

(註1)アメリカの義務教育は、日本の幼稚園年長5歳から、高校卒業の18歳迄である。よって、3/4とは15〜6歳程度と推察されるが、州によって制度は異なる為、曖昧である。

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